まず、「上場後6カ月を経た銘柄」をピックアップする。通常、6カ月後にロックアップが解除され、ある程度の売りが出てくると想定されるので、多くの投資家はその前に持ち株を売ってしまうことがある。一時的でも持ち株が調整するのは精神的にもよくない。だから、ロックアップ後の安値を狙う、というわけだ。
IPOの銘柄選び
チャートを活用
次のフィルターとしてチャートを活用したい。大した実力もないのに高い初値を示した銘柄は、上場後6カ月を経ても株価チャートは下落基調を継続している。そういう銘柄ではなく、「下げ止まって横ばいで推移しているか、既に上昇に転じている銘柄」をピックアップするのだ。
株価の上昇は業績の変化率に正比例
最後は業績を見る。株価の上昇は業績の変化率に正比例する。だから単純に、新興3市場の上昇率ランキング等で利益の前年同期比伸び率を調べ、銘柄を拾い上げていけばいい。ただし、上場後6カ月程度の期間が過ぎた銘柄でないと、そのチェックすらできない。これが、上場後6カ月という条件を付けた、もう一つの理由である。
通期業績予想に対する足元利益の達成率
業績についてはもう一つチェック項目がある。通期業績予想に対する足元利益の達成率だ。例えば、中間期の経常利益予想が前年同期比50%増の5000万円、通期の経常利益予想も前期比50%増の1億円と見込まれている企業があったとする。
中間期の業績が発表されて、経常利益が8000万円だったとしたら、中間期までで通期予想の80%を達成しているので、通期についても業績上振れの可能性が高いと考えてよい。
ただし、業種によっては、売上高が上半期偏重とか下半期偏重という企業があるので、上期は好調でも下期は失速する傾向がないか、必ずチェックすることだ。
ネット株バブル
1999年は“ネット株バブル”という言葉が生まれたように、上場したばかりの赤字企業の株価が1000万円を超えたり、1000年分の利益を先取りしたPER1000倍以上の銘柄が登場した。だが、2000年に入ってバブルははじけ、そうした企業の株価は大暴落、10分の1から20分の1に下落した。
ITに関する“ビジネスモデル”や事業構想だけで株価が上昇することは、やはり異常であったのである。
将来期待される収益の裏付けが、株価を根拠付ける
現在または将来期待される収益の裏付けが、株価を根拠付けることはいまも昔も変わらない。また一方で株式は“企業の支配証券”であることから、株価は企業の資産内容も反映する。したがって、PERやPBRを中心とした、企業の利益や資産価値の変化から適正値を割り出すことが、株価を診断するもっとも無難な方法である。
過去の経験則やデータが必ずしも当てにならな
しかし、今日の日本経済のように大きな変革期にあり、過去の経験則やデータが必ずしも当てにならない場合、この2つの視点だけでは、株価の適正値を探るには心もとない。もっと多角的に考える必要がある。